シン・Ryuseiは今日も雨を呼ぶ

札幌銭湯スタンプラリーに再挑戦しているのでその記録だったり他多数

【白石区】菊水湯_200301【38/38】

私はお風呂が好きだ。ぬるいお湯が大好きだ。熱いお湯が大好きだ。サウナが大好きだ。水風呂が大好きだ。よろしい、ならば銭湯だ。

 

 

令和元年10月7日に美春湯さんから始まった札幌銭湯スタンプラリー。

約半年に渡って札幌市内の銭湯に入り続けてきた。

この長い冒険も一つのピリオドを迎える。

最初から決めていたのは、白石区の銭湯で始めて、そして終えるというお湯の冒険。

色々と悩んだが、最後は菊水湯さんと決めていた。

 

閏日という4年に一度の記念日をまたぎ、令和2年3月1日、この冒険は最終話を迎える。

前回の予告でも書いたとおり、行き先は最初から決まっていた「菊水湯」。

 

僕は、20代の頃、とある小さな町へIターンで引っ越しした。そこではとても成長させてくれて、本当にありがたい記憶がたくさんある。はみ出し者たちの遠い夏の思い出がたくさんある。飲み屋に謝りに行った記憶がたくさんある。仲間がたくさんいる。

 

就職氷河期時代のど真ん中で、何人も同級生が自殺した。僕はまだ生きている。僕は何を糧に生きているかなんてわからない。死なないから生きている。その引越し先では、とても多くの経験をさせてもらったおかげでまだ生きている。

 

そして、30代になり、札幌に戻ってきた。戻ってきた土地は「東札幌」。

僕の人生、まだ間に合うはずだと思い、まだ遅くないと思い、後戻りするなと思い、また一歩踏み出そうと思い、少し怖いと思い、そしてまだ、人生の冒険は続いている。僕の冒険は、裸足のまま飛び出してみたが、栄光に向かって走る列車には乗れなかった。ただ、いまだに僕が生きているということは、何か意味があるのだと思っている。

 

その東札幌時代には、貴楽湯、共栄湯、菊水湯の3つの銭湯に入っていた。

きっと、銭湯がなければ、人生が辛くて途中で潰れていたかもしれない。

人生なんて、悩みばかりである。でも、銭湯に入っていると「そんなことはどうでもいいことだ」と気持ちが変化する。世の中の大半の悩みなんて大したことがないこと。そう思える。命が回復するところが銭湯。

 

その東札幌時代から12年は経過しているのが令和2年である。

その思い出の菊水湯へ地下鉄に乗り向かう。

 

f:id:oryusan_13:20200301155813j:plain

 

この佇まいは、変わらない。あれから12年が経ち、僕は完全無欠の中年になった。あの頃より年をとった。髪も薄くなった。皺も増えた。肌も悪くなった。少し太った。病気がちだ。だけど、菊水湯は変わらない。未来永劫この場所で、多くの人の裸を見続け、多くの命を洗濯するだろう。

 

さぁ、最後のスタンプを貰いに行こう。これまでたくさんの僕の命を回復させてくれた菊水湯に感謝の気持ちを込めて、ありがとうをいいに菊水湯へ行こう。僕は社会人として、まだなんとか生きながらえていることを伝えに菊水湯へ行こう。

 

 

 

f:id:oryusan_13:20200301172936j:plain

 

 

その時、入り口で衝撃的な情報と正面衝突事故を起こす。

 

何かがはじけ、飛び散った

TOO MUCH PAIN

 

嘘だろ・・・。90年の歴史を誇る銭湯がこうもあっさりなくなってしまうのかよ。

俺たちは無力だ。なにもできない。進化論ではこう書かれている。「時代の変化に対応できるものだけが生き延びる」と。銭湯は、いまだに昭和の時間が流れている。時代の変化にしなやかに対応できていないのかもしれない。ビジネスモデルに持続性がないのかもしれない。

 

しかし銭湯は、多くの命を救う、重要な社会インフラだと思っている。こうも簡単に、あっさりと、雑草を引っこ抜くように、豆腐を崩すように、ヤクルトを飲み切るように、いとも簡単に減らしていいのかと問いたい。

 

悔しい思いをしつつ、ドアを開け、番台の方に札幌銭湯まっぷを渡し、スタンプを貰い、そして、「達成日」のところに日付を入れてもらう。

 

そこでしばし会話をした。昔に通っていたこと、スタンプラリーを始めたこと、銭湯への感謝の気持ち、そして閉湯の話。

 

一連の会話をやり取りしたあと、全裸に着替えて、浴室へ向かう。

そこは、何回も見慣れた光景。見慣れた天井。そして、静かに、多くの人が命を洗っている。いや、磨いていると表現したほうが正しいかもしれない。未来に向かって生きていく人の強い意欲を感じられる。そんな空間が広がっていた。

 

3月末で終えるなら、まだ来れるだろうと思い、再訪問を決めた。東札幌時代に通っていた貴楽湯はすでにない。そして、菊水湯も消えるわけだ。せめて、僕は訪問しその記録を残しておこう。ネットの世界にその記録を残しておこうと思った。

 

f:id:oryusan_13:20200303214243j:plain

これが完成した札幌銭湯まっぷである。

最後は感動ではなく、悲しいお知らせとなった札幌銭湯スタンプラリー。

 

ただ、まだ終わったわけではない。

この札幌銭湯まっぷを持って、中央区にある札幌公衆浴場商業協同組合へ行って、景品をもらわなければならないのだ。いつまでもメソメソしてても仕方がない。未来へ向かって一歩踏み出そう。未来は僕らの手の中にある。

 

店名:菊水湯
住所:札幌市白石区菊水3条1丁目5-3
TEL:011-811-2856
営業時間:14:00〜22:00
駐車場:有
定休日:水曜 . 第4土曜日